ご挨拶・リレー随想

ご挨拶

吉備国際大学 教育GP担当者 横山奈緒枝(社会福祉士)

本学の教育GP「医療・福祉領域の連携スキル学習プログラム」は、平成20年度に採択を受けましたが、初年度は慌しく経過し、取組の推進に明け暮れました。遅くなりましたが、担当者として改めてご挨拶を申し上げます。本取組にご支援いただいている関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。また、通常業務だけでもご多忙ななかで、取組の中核としてご尽力いただいている推進メンバーの皆さまにも、お礼を申し上げたいと思います。皆さまの励ましやご助言、支えがなければ、これまで予定していた内容を進めることは困難であったと思います。本当にありがとうございました。

高齢者の生活実態と、支援課題に沿った連携教育を

吉備国際大学 教育GP担当者 横山奈緒枝(社会福祉士)

平成21年6月3日

取組背景と取組のポイント

取組概要はパンフレットをご覧いただきたいのですが、本取組の目標は、看護・作業療法・理学療法・社会福祉などの各専門性の適切な発揮のために、学部の違いを超えて学生同士が相互に関わり合い、連携について学び合う教育のしくみを築くことです。そして、基礎的な連携力を備え、対象となる“高齢者(当事者)”の方の主体的な人生を支えるために、多職種とともに取り組むことのできる卒業生を輩出していくことです。

本プログラムを企画立案した背景には、本学には保健科学部と社会福祉学部があり、専門職者・実践レベルの担い手の養成に力を入れているということがありました。その土壌には、本学の創設者の建学の理念である「一人ひとりの能力を最大限に引き出し、引き伸ばす」という強い願いがあると思います。私は本学に着任時、このことばに強く惹かれ、重要性を感じ続けてきました。どの専門領域においても“一人ひとりを理解し、その力を良い方向へ向けるようにいかに関わっていくか”ということは、あらゆる実践や専門性の発揮の前に、専門職者が一人の人間として問われる事柄であると考えております。

とくに、超高齢社会であるわが国は、保健・医療・リハビリ・社会福祉等のニーズは高まるばかりです。これらのニーズは多様であり、多くの場合、ニーズの内容は連鎖し、つながりを持っています。県内の地域包括支援センターの職員の方々にいろいろと現状を教えていただくことが多いのですが、どの専門領域においても、ニーズを満たし、問題に対処するにはチームアプローチが不可欠であると実感しています。

チームアプローチを適切に行なうためには、チームコンピテンシーとして、知識、技術、態度の3要件が不可欠であるといわれますが、本取組の特徴は自らの専門性における3要件を、他の職種を意識しながら向上させていこうとするところにあります。

初年度の達成点とこれから(平成21~22年度)

初年度に実施した内容は大きく2つに分かれます。1つには取組内容を周囲へ伝達するなどして、組織体制を強化すること 2つには、取組の柱であるシチュエーションロールプレイを用いた各学科合同の演習の実施でした。シチュエーションを設定した演習方法については、高齢者の生活により密着した体験型学習が重要であり、支援の現実的な課題に沿った専門職者養成が必要であると考えたからに他なりません。

1つ目に関しては、内容伝達のためのパンフレットや教材としてのDVDの作成の他、学内教職員や、学外の実習施設の職員の方々とのつながりを形成するよう努めてきました。2つ目に関しては、シチュエーションの設定のため、県内の老人保健施設の職員の皆さまに調査をさせていただいたり、合同演習の結果について分析をかけたりしながら、合同演習のあり方を検討し、合同演習実施のための冊子(学生用・指導者用 どちらも暫定版)の作成を行いました。

今年度は、今までの取組を基盤に、作成した冊子により合同演習を繰り返し、その効果と課題点を検討し、合同演習のあり方・教育方法を改善していくことが求められると考えております。残りの期間で一層の進展が図れるよう、取り組んでまいりたいと思いますので、関係者の皆さま、引き続きご協力、ご支援の程、何卒よろしくお願いいたします。また、ホームページをご覧の方には、ご意見、ご批判をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

社会福祉領域の課題

最後に、私は社会福祉士ですので、社会福祉領域の教育に関わる現況を以下、述べさせていただきます。

昨年7月14日に日本学術会議社会学委員会社会福祉学分科会によって出された提言「近未来の社会福祉教育のあり方について-ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて-」(委員長 白澤政和氏)のなかで、社会福祉教育の課題と見直しとして6項目が示されました。部分的に抜粋して紹介いたしますと、「教育内容での拡大化と固有性」において、「専門職連携教育を試行するなかで専門性や専門能力とは何かを理解し、研究レベルでも理論的・実証的データの蓄積と分析の精度を高める必要がある」と述べられています。また「社会福祉教育を進めるうえでの多様な連携」では、「専門職連携教育を実現するために、保健・医療・介護等の専門職養成の教育機関・団体、職能団体などと対人援助職全体の教育システムのあり方を協議し、協働して教育に取り組んでいくことが必要である」と示されています。この提言では「連携」に関する表現がかなりみられ、社会福祉専門職が様々なフィールドにおいて、他の職種や機関などと関係を築きながら実践していくことが重視されていると理解できます。

本教育GPで、他職種者または他職種の養成担当者と話をしたり、ともに取り組むなかで、自らの専門的資格が準じている法や国家試験の特徴、専門知識の特徴など、新たに発見することとなった自らの特徴や専門性も幾つかあります。初年度はあまりに慌しく十分できませんでしたが、これからの取組のなかで、他の学部・学科の担当教員や関係者と相互に関わりをより深め、自らの専門性について分析していくことも重要であると思います。とくにソーシャルワークの業務は幅広く、その固有性の不鮮明さが未だに問われることも多いため、本取組を通して、積極的に分析・検討に臨むことが大切であると考えております。

横山奈緒枝 より 難波悦子先生へ

難波先生と一緒に研究させていただいたり、教育に関わるお話などをさせていただくようになって、はや10年程になります。照れくさいですが、本学での先生との出会いに感謝しております。

先生の物事にきちんと、真摯に向き合うお姿に多くを学ばせてもらっています。とくに、学生たちへの親身な態度を見ていると、いつもとてもホッとします。初年度、実施しました合同演習では中心になって動かれていましたが、学生への教育の熱心さの表れなのでしょうね。

お互いに初年度の疲労を吹き飛ばして、今年度も頑張りましょう。

では、次回のリレー随想の記載をお願いいたします。

一覧へ戻る 次の随想を見る

ページの先頭へ