ソーシャルワークにおけるチームアプローチ
吉備国際大学 社会福祉学科 松原 浩一郎
平成22年7月27日

加藤先生の医療現場での連携に関連して、先般開催された学会の報告をさせて頂きます。
7月4日山口県立大学において本年度の日本社会福祉学会中国・四国部会の大会(総会)が「ソーシャルワークにおけるチームアプローチ」をテーマに開催されました。「実習教育におけるチームアプローチ」と題した特別分科会では、GPの責任者である横山先生がパネリストとして発題されました。横山先生のご発題は後日先生から直接皆様にご報告があるようですので(ひょっとしたらこの随想がHP上に掲載される前にあったかもしれません)、私は基調講演の内容をご紹介させて頂きたいと思います。
今学会の基調講演は「ソーシャルワークにおけるチームアプローチの視点」と題してルーテル学院大学の福山和女教授が登壇されました。自らの実践経験および教員になってからの教育・研究の成果を踏まえて、きわめて内容の濃い示唆に富む講演でした。その中で連携について特に印象に残ったものを取り上げてみたいと思います。
前回の加藤先生の随想の中で、医療分野での協働のあり方が紹介されていました。医師や看護師をはじめ多くの専門職が一人の患者(あるいはその家族)のために協働する現場が説明されておりました。福山氏は従来の医療現場での協働による支援に対して、新しい概念を提唱しております。これまでの支援体制は、患者(利用者)が問題を抱える人として中心に据えられて、各専門職が意見を出し合い支援の方針を決めてきたが、これだと明らかに患者本人の意思が無視されて受け身の状況にあると指摘します。そして新しい支援の概念として、中心に問題を抱える患者を据えるのではなく、その患者がかかえる問題状況、あるいは問題状態そのものを据えて、医師や看護師、PTやSWなどと同様に患者も一専門家として問題状況を理解して発言するようにする、というものです。これまでだって患者(利用者)の意見を無視することはなく十分に聴いてきた、というかもしれないが、それは「何をしたいか?」「どうなりたいか?」という質問とそれに対する患者の応えであり、援助はまったく専門職任せであったといいます。新しい支援では、患者自身「自分がどう取り組むのか」「支援への取り組みの方針を述べる」ことが大切になります。どうしてほしいのかではなく、自分がどうするのか、が問われるのです。それはまさに専門職個々が「どうするのか」「何ができるか」と考えて、発言するのと同じだということです。これからの専門職協働においては、専門職個々と患者(利用者)が、自分たちは「なにができるか」を述べ合い限界を理解し合い、その限界を少しでも減少・解消する方向に進むことが重要になるということです。講演の中では、ミクロレベルの協働やメゾレベルあるいはマクロレベルの協働などの詳細が述べられたのですが、紙面の都合割愛させて頂きます。患者本位・利用者本位の医療・福祉の連携による支援を考える時、大切な概念だと思います。
それでは、次回は上記学会の運営委員をおつとめの岡崎幸友先生にバトンタッチします。


