リレー随想

「雨の日は雨の中を 風の日は風の中を」

吉備国際大学 社会福祉学科 保積 功一

平成23年2月2日

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黒宮先生の「ジョ・ハリの窓」から襷を受け、教育GP連携リレーもついに最終のランナーとなってしまいました。

近年、保健医療福祉の領域では、真の支援の有り様として、全人的、包括ケアなど対象者に対し総合的な支援が重要視されてきており、他専門職との連携力養成は大きな課題となってまいりました。吉備国際大学「医療・福祉領域の連携スキル学習プログラム」の取り組みは、本学の教育方針である「豊かな人間性と専門性の修得」を目指して、質の高い専門職の養成を行うために、「利用者主体」のアプローチを社会福祉、看護・作業の領域の教育課程の共通テーマとして導入し、連携力の養成を強化する取り組みです。3年間における取り組みの目的は、①教育課程に対象者を主体に据えるアプローチの導入、②学部・学科を越えた連携スキルの合同演習の場を設定、③大学と実習機関を円滑につなぎ、実習の教育的効果を上げる、④実践的な場面設定に基づき、連携スキル学習プログラムの活用、⑤専門領域、他領域への理解を深め、学びのミュニティを形成する等の5点を掲げました。

取り組みの方法として、3領域合同演習の場を設定し、連携学習スキルプログラムを導入、3領域の専門職者の連携における課題となる場面を提示し、ロールプレイを中心とする体験型演習を行ってきました。平成22年度から、1年次においてはコミュニケーションスキル演習を、2年次から連携スキル演習を社会福祉と保健科学部の両学部の共通科目としてカリキュラムに反映することができました。また、この取り組みの中には、職員の研修として、この領域における先進国のイギリス、オーストラリア、カナダでの連携教育への取り組みの視察・報告などを通して教員も多面的な学びを得ることができました。

福祉の提供するサービスは、個別性の高い利用者の生活全体を支えるという視点を持つことが大切です。これには当然、生活に対する利用者の満足度や納得した上でサービスを受けているかといったことも含まれますが、幸せの尺度は人それぞれです。共通して言えることは、社会の中でその人が必要とされている、あるいは、「自己存在感」を感じとることができるかが重要だと思います。そのことが実感できるような「心理的側面」も踏まえたサービス提供が専門職として期待されることでしょう。およそどの専門職もそうであるように、専門知識や技術に裏打ちされた力量が必要であり、その上で、人間の尊厳を守るという透徹した倫理が求められます。ソーシャルワークにおいては、消費者保護や個人情報保護といった権利擁護の視点がより重要になってきており、法的知識も身につけなければなりません。さらには、保健医療などの関連分野の専門職と、疾病予防、医療、福祉の課題に対する解決策をともにし、お互いの専門性を尊重し合い、発揮し、相互の連携を行い、潜在的生活機能の増大とマイナス面の減少を最大限に図り、それぞれに共通する最高のQOLの向上という高い目標を達成していくことが重要な課題であると思います。多職種間協働における連携、単なる連携ではなく、言うまでもなく価値と倫理に基づいた常に新たな援助方法を創造していく連携・協働という概念が必要であるよう強く感じています。

今回の取り組みに参加でき、私なりに多くの気づきを得ることができました3つほどにまとめて見ました。

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一つには、各領域の専門職者の連携において課題となる場面を設定し、ロールプレイを中心とする体験型学習を行いました。そこで、専門領域の異なる学生が共に学ぶことによって、他職種の理解、独自の専門性とは何か、連携とは何かなど多くの気づきを得ることができたことと思います。合同演習の開始前と開始後の連携に関するアセスメントを通して、大きく学生の変化(成長)が確認されました。体験を客観化し、経験に転換していくためには、事実は事実、混沌は混沌、見えない状況は見えない状況とし、参加学生同士のコミュニケーションを通して、正面から見据え、把握する力(見守る力)が培われたと感じています。 その一方では、そこに参画し、関わったわれわれの側にも、学生の体験から触発されたものを自己の中にどのように深化させることができるのかが改めて問われています。連携する力は、相互の信頼関係の中で育まれるものであると思います。

二つには、国際生活機能分類(ICF)は、「人が生きることの全体像」の捉え方についての共通概念を示すとともに他職種の専門職のみならず、家族や当事者などの非専門家を含めてこれを捉えるための共通基盤として機能するもので、専門分野の壁を越えて、「人が生きる」ことを包括的・総合的に捉える見方、考え方を共通に持ち、多くの専門職がともに共有できる共通言語として位置づけられています。保健医療福祉の多職種間連携において、人が「生きる」こと、「生きることの困難さ」をどう捉えるのか、学生を主体とした授業方法を最大限に取り入れ、学生と一緒に、この考え方に改めて学んでみたいと感じています。

三つには、「学生への多職種連携教育を推進することで、現場での協働がさらに進むことが期待できる」ことを事業評価委員の先生方から示唆されました。まず、現場での協働のなどのフイードバックを得、それを教育の中に反映させていくこと、さらには、教育における連携と現場における協働のそれぞれの成果を持ち寄り、多様な専門職協働の現状などともに学び合える場ができればなと考えています。

では、みなさん

「雨の日は雨の中を」「風の日は風の中を」(相田みつを)・・・・ぼちぼち参りましょう。

教育GPは、今年度2月には事業評価委員会が終了し、この3月をもってすべてを終了いたします。この事業に深く関わっていただきました学生諸氏をはじめ、GP責任者と職員、また、他大学の先生、現場実践者、卒業生ならびに学内推進メンバーの方々にこころから感謝申し上げます。ありがとうございました。最後になりましたが、学長以下、全学的な組織として事業の遂行をバックアップしていただきましたこと、ここに改めてお礼申し上げます。

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