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【外国学科】嵐山熊彦 店主・料理長 栗栖 基 先生「生き方」講義『未来は自分で決め、チャレンジすべし』

New 2026年5月21日
  • 外国学科

5月20日(水)の「生き方」の授業は、京都にある京料理「嵐山 熊彦」の三代目店主・料理人、栗栖基先生にご講義いただきました。先生は、店長(社長)の職責を担いつつ、カウンターで料理・接客をされています。

冒頭、栗栖先生から、生きていく上で一番大切なことは、幸せになることと、お話しされました。生き方=幸福である。京都駅で多くの修学旅行の生徒さんたち、インバウンドの観光客のみなさんをお見かけした。みなさん、楽しそうでした。人間は幸せになる権利があり、楽しく自由な時間を過ごせると幸せになるのだと思います。

日本料理はUNESCO世界無形文化遺産に登録されました。裏を返すと、その伝統を維持するのが難しくなってきたとみなすこともできる。日本料理の原点のひとつに、坐禅の修行における食事、精進料理がある。そして、日本の食文化は、長く、豊かな自然と四季に育まれてきている。日本は北は北海道から南は九州・沖縄まで、多様な土地と気候に恵まれている。そのため、多種多様な食材があり、地元の食材を利用して郷土料理ができあがり、その集合体が日本料理になっている。風情を料理のイメージに活かす。料理に、自然を写す、そして、目で楽しむものにする。それが日本料理です。

人類の誕生から現代までの大きな歴史の流れの中で、人類と動物との違いの視点で、どのような進化を経てきたのかを考えました。共感力があり、共食という特徴を持つ人類が、どのように進化したのか。生きる=食べる。人類は当初、狩猟採集民で、食べ物がなくなれば移動をせざるを得なかった。食べ物が原因で争いが絶えなかった。穀物が栽培できるようになり、保存ができるようになると、人類は集団で定住を始めた。人口爆発となり、食べ物が不足し争いが増えた。定住集団が大きくなり、ことば(言語)が高度化し、中央集権国家ができてきた。定住化の起爆剤であった農業の発展により、万人が便益を受ける「文明」が生まれた。共感力を高めるものが、文化であり、その発展をみた。文明を生み、文化を発展させた人類であるが、負の側面も大きくなった。争いである。人間のはかなさ、愚かさをしみじみ思う。人類はどこで間違えたのであろうか?いずれにせよ、歴史を振り返ると、人類は、自然環境の中で、生かされている。

消費と浪費の違いを考えてみたことはあるだろうか?消費は必要な物を買いそろえるなど、ある意味、主体性がない。一方、浪費は真なる楽しみである。本当にやりたいこと、欲しいものを獲得する。ぜいたくができる。その意味で、浪費には主体性がある。では、幸せになるとはどういうことであろうか。幸せになる、ならないは、自分次第である。各人それぞれ異なる。本当の幸せは、満足を与える。自分の幸せは自分で見つけるものだ。あることを好きになり、幸せな気持ちになると、楽しむことになる。

経済が中心となり、AIが仕事を席巻している。人間にしかできないことを考えて欲しい。課題の構築、問題提起などは、人間にしかできないことだと思う。そして、人文知を大切にしてもらいたい。人間の愚かさの流れが分かる「歴史」を学ぶべし、常識かどうかの問いかけを行う「哲学」(宗教を含む)を学ぶべし、そして、どうしたら幸せになるのかを考えて欲しい。人間の心の深層にふれることができる「文学」にふれるべし。要は、AIにはできないであろう「人間らしさ」を追及してほしい。

講義全体を通じて、栗栖先生から、「未来は自分で決め、チャレンジする」そのような生き方をしてもらいたいと、学生にエールを送られました。

質疑応答では、学生から、「「食」の大切さを学びました。最近ひとりで食べる「孤食」が話題になっていますが、どのようにお考えでしょうか」と質問があり、栗栖先生からは、「孤食は賛成しかねます。楽しい食事にならない。幸福感がないと思います。食事はやはり団らんの場であって欲しい」との回答がありました。もうひとりの学生から、「家庭料理を多くの人に知ってもらいたいし、外国の方にも味わってもらいたいと勉強をしています。本日の講義を拝聴し、料理はその技術だけでなく、幅広い知識と経験が必要であることが分かりました。」とのコメントがあり、栗栖先生から、「情報に躍らせられないで欲しい。料理を知っているということは、食べるという、奥行きの深い生活文化を多角的に学ぶことだと思います。」との助言をいただきました。