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【経営社会学科】【地域連携】トマト・ぶどう・備中牛の現場で「農業の経営」を学ぶ ―高梁まるごとキャンパス「マナタビ」に参加しました―

New 2026年10月14日
  • 経営社会学科

2026年10月4日(日)、高梁市学園文化都市づくり協議会が主催する地域学習バスツアー「マナタビ(高梁まるごとキャンパス)」に、本学社会科学部 経営社会学科の佐野淳也教授と、1年生の竹竝瑠菜さん、3年生の西尾友伸さんの2名の学生が参加しました。企画運営は高梁市学校連携コーディネーターの横山弘毅氏、開催協力は高梁地域の若手農業者グループ「備中緑農会」のみなさんです。

高梁市役所の駐車場からバスで備中町平川地区へ向かい、「見て、聞いて、食べて、感じて。高梁の“リアル”から学ぼう。」をテーマに、トマト農家・ぶどう農家・備中牛(黒毛和牛)の農家の3か所を巡りました。小中高生や保護者、大学生、地域の方々が一緒に参加するバスツアーで、農家のみなさんから直接お話を伺いました。

① トマト農家 ― 気候変動のなかで経営判断を重ねる

最初に訪れたトマト農家では、栽培の年間サイクルから経営の現実まで、詳しくお話しいただきました。

• 5月上旬に苗を定植し、収穫は7月中旬から本格化、霜が降りる11月半ば~12月初めまで続く

• 夏の高温で、実がつかない・柔らかくなる・割れるといった被害が増え、今年から作付けの6割を新品種に切り替えた(残り4割は従来の「桃太郎」)

• 受粉は、ミツバチではなくクロマルハナバチに任せている。手作業でホルモン剤を散布する手間を考えると「よく働いてくれるバイト」のような存在

• 数年前から全国に広がる外来害虫「トマトキバガ」への対策など、病害虫との闘いが続く

• ハウスをゼロから建てると約4,000万円の初期投資が必要。補助は全体の3分の1程度で、近年は離農した農家の「空きハウス」を引き継ぐ形が主流になりつつある

とくに印象に残ったのは、「農業はやるべきことが無数にある。だからこそ『やらないことを決める』ことが経営判断として大切」という言葉でした。限られた時間・資金・労力をどこに配分するか。これは、経営社会学科で学ぶ「経営」の考え方そのものです。

② ぶどう農家 ― 資材高騰とシャインマスカット、そして自由な働き方

ぶどう農家では、試食をしながらの和やかな対話となりました。会社員から新規就農された方で、就農時の補助は受けられず、すべて自己資金で始められたとのこと。

• 収穫・出荷は9月から11月。農業資材は2~3割値上がりし、コスト上昇が売価の上昇を上回って収益を圧迫している

• シャインマスカットは全国で生産が広がり、出荷増により価格が下がる傾向にある

• 一方で、「天空の実り」というブランド名で、当日収穫したものをその日に発送する個人向け販売が口コミで広がり、需要に応えきれないほどになっている

• 草刈りは危険を伴う作業で、刃物を極力使わない工夫や外部委託も検討している

• 自分の裁量で働き方を決められる自由度の高さが、新規就農の魅力

「作る」だけでなく、ブランド化・直接販売・安全管理まで含めて考えることが、小さな農業経営の鍵になっていることがわかりました。

③ 備中牛 ― 数字で見る畜産経営と、現場のリスク

最後は、子牛の誕生から出荷までを一貫して手がける黒毛和牛の「繁殖肥育一貫経営」の農家です。飼育頭数は全体で380頭、見学した牛舎では約110頭を管理しており、出荷までの飼育期間は約28か月。出荷間近の牛は体重が約850kgにもなります。

経営の数字も具体的に教えていただきました。仕入れ・餌代の高騰に対し、販売価格を大きく引き上げるのは難しく、現場からは「充分な収益を得ていくのは難しい」という切実な実感も語られました。背景には、仔牛を生産する繁殖農家の高齢化と減少があります。新規参入には土地や牛舎への巨額投資、臭気をめぐる近隣との関係など高いハードルがあり、現実的には後継者のいない既存農家で経験を積み、事業承継する道が有望だとのことでした。

また、牛はロープ一本で扱うため、手に巻き付いて骨折する事故や、踏まれる・蹴られる・挟まれるといった危険が常にあります。生き物と大型機械を相手にする仕事の安全管理の重みも実感しました。

学びのポイント ― 3つの現場に共通していたこと

  1. 気候・コスト・価格の変動のなかで、経営判断を重ねている(品種転換、ブランド化、直接販売など)
  2. 担い手不足と事業承継が共通の課題である(空きハウス、後継者不在の農家への就農など)
  3. 「やらないことを決める」「自分の裁量で働く」といった、仕事観・働き方の選択がある

統計や教科書の数字だけでは見えにくい、農業の「リアル」を、現場で、作り手の言葉から学ぶことができました。1年生から3年生まで、学年の異なる学生がそれぞれの関心で現場に向き合えたことも、大きな収穫でした。この学びを、経営社会学科の授業や、地域の担い手づくりを考える実践に生かしていきます。

参加学生のコメント(1年生と3年生、学年を越えて)

▶(経営社会学科1年・竹竝瑠菜さん)
高梁市に住んでいる私ですが、備中町平川地区という町に初めて訪れました。移住者の熱心な農業活動のお陰で私たちは美味しいご飯が食べられているのだと改めて感じることができました。トマトを頂いたり、牛を触らせて頂いたり、ぶどうを頂いたりと、皆さんのサービス精神にとても感動しました。初めての経験をさせていただけてとても楽しかったです。

▶(経営社会学科3年・西尾友伸さん)
実際に現場を自分の目で見て体験することはとても新鮮で、今まで牛舎やトマト農園に来たことがなかった私にとって、大変良い学びとなりました。 中でも印象に残っているのは、牛舎でのひとときです。こんなに大きな牛を怪我や事故のリスクを抱えながら育てているにもかかわらず、子牛の価格が高騰していることなどが原因で、ほとんど利益が出ていないという現状をお聞きし、そのお話は今でも忘れられません。 次回マナタビが開催される時も参加しようと思います!

貴重な機会をくださった高梁市学園文化都市づくり協議会、横山弘毅氏、備中緑農会、そしてご対応くださった農家のみなさまに、心より感謝申し上げます。 (※学生の氏名および写真の掲載については、本人の同意を得ております。)